6.7 仮想通貨におけるDAO(分散型自律組織)とは？

このセクションでは、仮想通貨におけるDAOとは何なのかについて解説していきます。

熱心なコーヒー愛好家であれば、人生のある時点で、最新のコーヒーマシンを購入する可能性があると思います。ボタンを 1 回押すだけで、簡単にコーヒーが淹れられ、マシンがすべての作業を行ってくれる訳ですが、マシンを掃除したり、水を補充したり、コーヒー豆を追加したり、一般的なメンテナンスを行う必要があります。

本質的に、上記のコーヒマシンの例は、DAOがどのように機能するかを比喩的に、非常にわかりやすく意味しています。このセクションでは、DAOの概念をわかりやすく、出来るだけシンプルに説明し、一般的に仮想通貨の世界でDAOが重要である理由についても説明していきます。

それでは、早速始めて行きましょう！

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What is a DAO in Crypto? (Animated Explanation)

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DAOとは?

まず最初に、そもそもDAOとは何でしょうか?

DAOは、英語で「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、日本語では一般的に分散型自律組織と呼ばれます。非常に大きな言葉が 3 つありますが、これらを分解すると、コンセプト自体は非常にシンプルです。

「分散型」については、他のセクションで何度も取り上げてきましたので、この概念をまだ知らない、もしくはもっと詳しく知りたい方は、このハンドブックの前のセクションを参照してください。ここで簡単に言うと、分散化とは、単一の中央の権限が欠如しているものを指します。組織規模で言うと、CEOのいない、全従業員が意思決定に等しく責任を負う会社を想像してみていただけるとわかりやすいかと思います。

自律とは「自給自足」を意味する言い方で、これはシステムが他の人の介入なしに特定のプロセスを完了でき、手動でプロセスを完了する必要があることを意味します。ここで、前述のコーヒーマシンの例を元に考えてみましょう。一度ボタンを押したら、それ以上レバーを押したり引いたり、手でコーヒー豆を挽く必要はありません。マシンがすべて自動的に作業を実行します。

最後に、この文脈における「組織」とは、意思決定を行う人々のグループが存在するという事実を意味します。したがって、これらすべてを合わせると、DAO (分散型自律組織) は単に、アクティブなプロジェクトに関心を持って集まった責任を負う個人の集まりが、そのプロジェクトに対する意思決定、変更、アップグレードを行うと言う事です。

正直に言うと、先ほどのコーヒーマシンの例が、比喩的にですが、ビジュアル化された非常にシンプルな例となります。マシンは自動的に動作します。先ほども述べたように、「スタート」ボタンを押した後は何もする必要はありません。ただ座って、マシンが仕事を終えるまで待つだけです。

仮想通貨の世界では、このコーヒーマシンに相当するのがスマートコントラクトです。スマートコントラクトは、人間の介入を必要とせずに特定のプロセスを自動的に実行できるよう特別にプログラムされた契約の事です。

コーヒーマシンの電源を入れると、残りのプロセスが自動的に行われるのと同じように、スマートコントラクトを使用すると、ユーザーは仮想通貨の取引、お金の貸し借り、 信用不要ギャンブルなど、複数の異なるプロセスに参加できます。スマートコントラクトについて詳しく知りたい方は、「スマートコントラクトとは?」のセクションをチェックしてみてください。

さて、コーヒーマシンの例に戻ると、すべてのプロセスが自動であっても、時々、マシンとそのフィルターを掃除し、水タンクを満たしと、一般的なメンテナンスを行う必要があります。スマートコントラクトについても同じことが言えます。

契約に対して特定の更新やプログラム可能な変更を実行し、その背後にあるプロジェクトを管理するには、一般的にDAOが必要となります。DAOは、それぞれのネットワークに対して提案された変更点に全員が投票をし、両者合意の決定がなされた場合には、その変更点を実装する人々が集まったグループです。

DAOはどのように機能するのか?

DAOとは何かについて少し理解できたところで、次は、DAOは一体どのように機能しているのかと言うところについて説明していきたいと思います。

DAOの背後にある基本的な考え方は、実際には非常にシンプルです。ただし、この説明にはトークノミクスについて少し触れなくてはならないので、もしも、この用語にまだ馴染みがない場合、または基本的にブロックチェーンがどのように機能するのかをあまり理解していない場合は、「ブロックチェーンとは？」のセクションを先にチェックしておくことを強くお勧めします。そうすることで、DAOに関して何が期待できるかをより深く理解できるようになります。

さて、あなたとあなたの友人が誰かの家で集まったときのことを想像してみましょう。みんながお腹を空かせてきた時、あなたの友人の一人が重大な質問をしました。「ピザか中華料理どちらを注文しようか?」と。

少し大袈裟ですが、この問題を解決するには、穏便に解決する方法が1つしかありません。それは、あなたとあなたの友人が投票によって決めることです。この状況では、グループ全体の意思決定を行う中心的な存在が存在しない為、代わりに、友人グループの各メンバーが投票し、意思決定プロセスに参加することにします。

これが基本的にDAOの機能です。実際の機能はもう少し複雑ですが、一般的な考え方は同じです。

まず、特定の仮想プロジェクトを中心にDAOを形成するには、そのプロジェクトに関連付けられたトークンが必要です。ちなみに、トークンと仮想通貨との違いについてのセクションもありますので、トークンについてもう少し詳しく知りたい場合は、そちらの方も是非チェックしてみてください。

さて、DAOに関して言えば、トークンは言わば投票用紙のようなものです。 DAO内の各個人が持つトークンが多ければ多いほど、彼らの投票はより強力になります。

先ほど例にした、ピザと中華料理の話を考えてみましょう。たとえば、あなたの友人の中に、単純にピザが食べたいという人がいるとします。筆者もその友人の一人で、ピザ派になると思います。この場合、仮にあなたが中華料理を注文することになったら、ピザ派の友人たちに申し訳ないと思うかもしれません。その友人たちは、グループの残りの決定に「影響を与えた」だけなのです。

DAOに「嫌な思い」や「揺れ」はありませんが、それでも、より多くのトークンのコレクションを持っている個人は、より影響力のある票を持つことになります。ほとんどの場合、トークンは仮想通貨取引所で購入または取引することで取得できます。

DAOが重要とされる理由

仮想通貨におけるDAOとは何なのか、そして、DAOがどのように機能するのかを理解できたところで、最後に残っている大きな疑問は至ってシンプルです。それは、なぜDAOが存在し、なぜDAOが重要なのかということです。

時間が経つにつれ、仮想通貨プロジェクトの背後にあるコミュニティーは、長期的な分散型エコシステムが繁栄し、その分散型機能を維持するには、DAOの概念が必要不可欠であることを認識してきました。

DAOの中核となる機能は意思決定です。つまり、DAOは、ある種の変更、アップグレードとアップデート、新機能、トークンロジックの微調整など、仮想通貨プロジェクトに関するすべての中核的な決定に責任を負います。

この点におけるDAOの最大の利点としては、これらすべての決定が完全に信用無しになるという事実です。言い換えれば、それらは利己的な意図を持った一人の人物によって作成されるのではなく、プロジェクトの背後にある実際のコミュニティーによって作成されることになります。

数年前から訪れているお気に入りのコーヒーショップがあると想像してみてください。そのお店は、美味しいコーヒーを提供し、バックグラウンドで素晴らしい音楽が流れています。ある日、店主は新しいコーヒー豆の供給業者と契約を結びました。この供給業者は、市場で最高品質のコーヒー豆を売る事では知られていませんが、コーヒー豆を非常に安く販売しているというのが売りです。

コーヒーショップの店主は、利益を最大化したいと考えており、その供給業者から供給された豆のみからコーヒーを作って販売するという契約を結びました。

そして、そうですね。その新しいコーヒーは、はっきり言ってまずいです。

もしそのお店がDAOによって所有されていたなら、この決定は投票にかけられたでしょう。コーヒーショップの背後にあるコミュニティーが、短期的に利益がわずかに増えても、長期的には忠実な顧客を失う価値がないと判断した場合、コーヒー豆の提供者からのオファーを拒否する決定が下されるでしょう。

つまり、仮想通貨プロジェクトに関する特定の問題についてDAOが決定を下すことで、短期的に利益を最大化する決定ではなく、「正しい」決定が下される可能性がはるかに高くなります。しかし、この例で言うと、コーヒーショップの店主は、短期的な利益を最大化する決定を下し、結果として、信頼のある顧客を失うことに繋がりました。

もう 1 つの利点は、ある意味これは欠点でもありますが、DAOがオープンソース方式で動くという事です。これが意味するのは、プロセスはいつでも閲覧でき、意思決定 (およびそれに続くコード) の整合性を誰でも検査できるということです。ここでの欠点は、DAOが外部からの攻撃に対して脆弱になることです。すべてが公開されているため、悪意のある第三者が抜け穴を見つけてそれを利用する可能性が伴います。

最後に、トークン投票システムも時として疑問視されることがあるということも言及しておく価値があると思います。先ほどお話ししたように、DAOメンバーはトークンを使用してプロジェクトの変更とアップグレードに投票します。つまり、トークンが多ければ多いほど、より多くの投票ができるようになります。

これがもたらす可能性があるのは、大企業が参入して指数関数的な量のトークンを買い占め、一種の集中環境を作り出すことです。その場合、彼らの投票がグループの決定を大きく左右することになります。当然のことながら、多くのDAOは、このような事態が起こった場合の安全対策を講じる傾向がありますが、懸念は依然として存在するのが事実です。