2.21 仮想通貨の実用化
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仮想通貨のコンセプトは日に日に人気が高まっています。特定のサービスの支払い方法として仮想通貨を導入している国も多くあります。たとえば、カナダではKFCのフライドチキンを仮想通貨で支払うこともできるのです。
しかし、国は従来の通貨や支払い方法をすべて忘れて、純粋に仮想通貨だけで機能することができるでしょうか?このシナリオは、さまざまな状況で間違いなく役立ちます。たとえば、ある国が他国からの大規模な制裁に直面している場合などです。もしそうなら、仮想通貨は制裁を回避する手助けになるのでしょうか?
こういった疑問を解くために、ウクライナの軍事危機の際に西側諸国がロシアに課した史上最大の制裁の実例を取り上げてみましょう。この制裁には、SWIFT、VISA、マスターカードなど、多くの金融ツールの使用拒否も含まれていることに留意してください。
また、このような状況は世界中のどの国でも起こりうることであり、今回のロシアはあくまで実例であることを再度強調しておきます。あくまでもケーススタディとして見るべきということをご理解ください!
それでは、早速本題に入りましょう。

ビデオ解説
動画解説: 仮想通貨の実用化
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Can Russia Use Crypto to Bypass Sanctions? (Animated)

ロシアにおける制裁
おそらくロシアが強制的に引き起したウクライナで起こった大規模な軍事危機をご存知でしょう。
状況は非常に複雑で恐ろしいものであるため、これに関する政治的な話は本記事では触れないようにしたいと思います。
不当な侵略であるため、西側諸国(米国、EU、その他数か国)はロシアに対して様々な制裁を行いました。制裁の多くは、ロシアの特定の高位オリガルヒを標的としたものでしたが、大半はロシア経済を対象としたものだったのです。
これらの制裁に加えて、多くの西側企業も危機の間、ロシア国内での事業を停止しました。それでは、これらの制裁と撤退について詳しく見ていきましょう。
まず、ロシア経済にとっておそらく最大の打撃となったのは、ロシア国内でのSWIFTの部分的な使用停止でしょう。
SWIFTとは何なのでしょうか?正式には、SWIFTという用語は「The Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication(国際銀行間通信協会)」と略されます。
つまり、SWIFTは世界規模の金融メッセージングサービスなのです。金融機関間のニッチなインターネット、あるいはソーシャルネットワークのようなものです。より具体的に言うと、世界中の銀行が相互に取引を通信するために使用するツールです。
SWIFTは取引を直接処理しませんが、代わりに銀行がこれらの取引をメッセージ形式で相互に通信できるようにし、1日あたり平均3,200万件の金融メッセージを処理しています!非常に大規模なネットワークであることがわかりますね。
SWIFTの操作をよりよく理解できるように、例を使ってSWIFTの操作をご説明します。
たとえば、トムという名前の友人がいて、彼に銀行振込で10ドル送金したいとします。ただし、トムは自分とは別の銀行を使用しています。
取引をすると、あなたの銀行はトムの銀行にそのことをメッセージで伝え、トムの銀行にあなたからトムへの取引があり、金額は10ドルであることを知らせます。これらの情報はすべてSWIFTネットワークを介して中継されます。
SWIFTがなければ、銀行は電子メールや暗号化機能の乏しいメッセージに頼らざるを得なくなります。お分かりのように、ここでは金融業務についての話ですので、これは理想とはほど遠いものです。
ロシアにおけるSWIFT禁止の規模を理解するために、次のように考えてみましょう。2020年、ロシア銀行のSPFSシステム(System for Transfer of Financial Messages、SWIFTに代わるロシアのシステム)で送信されたメッセージは年間2,000万件強でした。これに対し、同じ年にロシアでSWIFTやその他の非ロシア系銀行メッセージングサービスを通じて送信されたメッセージは1億1,000万件を超えています。
ただし、2022年3月7日の時点で、ロシアの7銀行がSWIFTの使用を禁止されています。また、ロシアがウクライナへの侵略を続ければ、さらに多くの銀行も禁止の対象となるだろうと言われています。
そうは言っても、そもそもこれはロシアにとって何を意味するのでしょうか?
簡単に言うと、ロシアの銀行は他国にある銀行と通信できず、世界の他の銀行から遮断されたのです。ロシア人は外国人との間で送金や受け取りができず、支払いは凍結され、クレジットの発行もできませんでした。SWIFT禁止の発表によって、ロシアルーブルの価値は30%暴落しました。
ロシア経済に対する次の大きな打撃は、VISA、マスターカード、アメリカン・エキスプレスによる発表でした。この3社はいずれもロシア国内での事業を停止しました。ロシアに居住していて、これら3種のデビットカードのいずれかを所有している場合は、取引を行うことができませんでした。PayPalのような国際的な電子決済手段も、ロシアでの取引のサポートを停止したのです。
これは非常に大きなことでした。最もシンプルな例としてVISAを挙げてみましょう。VISA はおそらく世界で最も人気のある決済手段であり、大多数のオンラインマーケットプレイスで取り扱われ、世界中の20億人(そう、「20億人」です!) を超える人々が使用しています。
当然ながら、ロシアに課された金融関連の制裁は他にもたくさんあります。しかし、これらの制裁と大手金融会社の撤退は、ロシア経済に大きな打撃を与えたと言えるでしょう。
さて、メインのトピックである仮想通貨は一体どこで登場するのでしょう?
仮想通貨がロシアの制裁回避ツールに?
ロシアへの金融制裁が続く中、多くの人々が、ロシアが仮想通貨を利用して制裁の影響を軽減できないかと考え始めました。この可能性を理解するためには、まず「KYC」という用語に精通する必要があるでしょう。
KYCは「Know Your Customer(顧客を知る)」の略です。これは、世界中のすべての銀行および金融機関がある程度は遵守する必要がある一連の金融規制です。基本的に、これらの金融機関は、潜在的な詐欺、マネーロンダリング、およびその他の種類の詐欺行為を特定し、防止するために、顧客に関する情報を収集(識別)する必要があります。
従来の銀行機関は、非常に厳格なKYCチェックを遵守し、実施しています。これは、従来の銀行はデフォルトで非常に厳しく規制されているためです。仮想通貨の場合、物事はもう少しグレーゾーンになります。
まず、DEX(分散型仮想通貨取引プラットフォーム)があります。このようなプラットフォームで取引を行う個人は、完全な匿名性を保つことができます。ご想像の通り、この点ではロシア市民も例外ではありませんでした。理論的には、DEXはロシア人が前述の制裁をすべて回避するのに役立った可能性があるのです。
中央集権型取引所についても、状況はそれほど良くはありません。金融機関の多くはKYC法や規制を遵守していますが、この遵守は非常に表面的なものであることが多く、他の従来の金融機関と一致していないのです。仮想通貨の規制は依然として非常に不確実なテーマであり、多くのグレーゾーンや抜け穴があるためです。 最も良い例の1つは、人気で高く評価されている仮想通貨取引所であるクラーケン(Kraken)です。クラーケンのCEOであるジェシー・パウエルは、取引所は法的な問題に関しては制裁に従うが、ロシアのウクライナでの行動を支持していない人々が国内に大勢いることを考えると、不公平であるため、同プラットフォームがロシア人ユーザーを全面的に禁止することはないと述べています。
さらに、ロシアは「デジタルルーブル」と呼ばれる独自の仮想通貨を開発しました。2020年当時、ロシア中央銀行は、デジタルルーブルによってロシアが西側諸国から「より独立」し、他国がロシアに課す可能性のある制裁の多くが緩和されると指摘しました。
では、これらすべてを念頭に置いた上で、ここでの答えを考えてみましょう。仮想通貨は本当に、ロシアに課せられた制裁を軽減、さらには無効化する可能性があるのでしょうか?
可能性は低いと思われます。これについてなぜ筆者がそう考えるのか詳しくご説明します。
デバリュエーション(平価切下)
ロシアのように制裁を受けている国にとって、最初の問題は通貨の切り下げです。
切り下げとは基本的に、ある国の通貨の価値を別の通貨、通常は米ドルと比較して意図的に下方調整することです。
ある銀行がロシア・ルーブルを50%、米ドルを50%取り扱っているとしましょう。ある日、皆がルーブルを持って銀行に行き、米ドルと両替し始めました。どうなると思いますか?この銀行のルーブルの割合が急激に増え、ドルが極端に少なくなります。どちらが値上がりし、どちらが価値を失うことになると思いますか?
大量のドル需要が常にあるため、次のおばさんがすでに価値の低くなったルーブルを銀行に持ち込むたびに、ルーブルの価値は間違いなくさらに下がり始めます。莫大な需要が市場に影響を与えるため、ビットコインの価格は上昇し、ルーブルは底値まで下がり続けるのです。
政府から見れば、この動きは致命的であり、自国の通貨が価値を失うことを決して許さないでしょう。
したがって、もし一般的なロシア人が仮想通貨を使い始めれば、ルーブルの価値はさらに下がり、ひいてはロシアの力を弱めることになります。ロシア中央銀行は実際に仮想通貨を全面的に取り締まっていると言われています。
さらに、ごく最近、ロシア政府はロシア国民による米ドルなどの外貨の送金、受け取り、取引を制限する新しい法律を発表しました。
具体的には、外貨を受け取る際、ロシア国民は3日以内に総額の80%をルーブルに換えなければならず、さもなければ罰金を科されるリスクがあります。つまり、ロシアに居住し、仮想通貨を米ドルやユーロに交換したとしても、ほぼ即座にルーブルに交換する必要があるのです。
これには、さらに1つではなく2つの問題が伴います。ルーブルの価格が暴落し、非常に不安定であったことと、ロシア全体が仮想通貨と従来の通貨を交換するのに十分な流動性が市場になかったことです。
大量導入
ロシアなどの制裁国が直面する第二の問題は大量導入です。
100個のキャンディーが入った瓶があるとします。子供がやって来て、97個のキャンディーを一度に食べました。しかし、その子供が100個のキャンディーをすべて食べきる前になんとか止めることができ、残りは3個になりました。さて、残った3つのキャンディーが子供の健康に大きな違いをもたらすと思いますか?
これが今回のテーマとどのように関係しているのでしょうか?ロシアと制裁に関して、仮想通貨に多くの注目が集まりました。主流メディアや多くの政治家などです。上記の例が示しているのは、仮想通貨が物事の大枠で違いを生み出すには、あまりにも小さすぎるということです!
世界人口の約3%が、何らかの形で実際に仮想通貨を保有しています。また、少額しか保有していない人も多く、全財産を仮想通貨に投資している人はほとんどいません。筆者がネット上でよく目にするのは、10%という数字です。仮に、保有者の10%が自分の全財産を仮想通貨に投資しているとしましょう。
つまり、現在、世界の純資産総額の0.3%未満が仮想通貨ということなのです。この例をロシアに置き換えてみましょう。仮にロシア人の0.3%(寛大な数字です)がたくさんの仮想通貨を保有していたとしても、非常に少額なのです。このような状況では、国内での突然の大量導入は不可能です。
残りの99.7%はどこにあるのでしょうか?
人々のポケットと銀行口座の2か所です。
仮想通貨に焦点を当てるのではなく、すべての制裁は従来の銀行業務や資金の流れのメカニズムに焦点を当てるべきです。仮想通貨は真の変化をもたらすには小さすぎるのです。
大量導入を妨げるもう 1 つの障壁はパートナーです。国内では、ロシア人はルーブルの入手と使用に問題はないですが、外国企業と取引する場合、これは大きな問題となり得ます。
なぜでしょう?
あなたがすべての制裁を背負い、ビジネスの存続のために仮想通貨の流行に飛び乗ると決めたとしましょう。問題はその反対側、つまり国外のパートナー側に現れるでしょう。
たとえば、あなたのビジネスがiPhoneを小売業で、海外の販売代理店(海外企業)に iPhoneを大量発注するとします。たとえ仮想通貨フレンドリーになったとしても、取引している海外企業は依然として状況の全体を把握しているため、何も変わりません。海外の大手代理店は、仮想通貨と引き換えにiPhoneを正式に販売することができないのです!
同じ状況は一般のロシア人にも当てはまります。たとえば、おばあさんの孫がアメリカに移住し、毎月収入の一部を仕送りしておばあさんを助けているとします。さて、この孫の課題は、同じ取引を仮想通貨で行う方法を学ぶことです!それに加えて、年老いたおばあさんに仮想通貨の使い方も教える必要があります。ロシアの高齢者人口の大部分にとって、これは大変難しいことです。
大量導入とパートナーに関して言えば、ロシアは仮想通貨の助けを借りて中国と取引できたのではないかというコメントをよく目にしました。少なくとも筆者がこの記事を書いている時点では、中国では仮想通貨が禁止されています。ロシアと同じように、この国は分散型で匿名性が保たれる通貨を好意的に見ていないのです。
偉大な中国共産党が、仮想通貨を使用してアリババでiPhoneケースや偽物のiPad、低品質のガジェットを購入できるようにするためだけに、仮想通貨の使用に同意するでしょうか?
たとえこの状況がもっと寛大なものだったとしても、サプライチェーン全体、取引がどのように行われるのか、そして取引を世界の他の地域からどのように隠すことができるか考えなければなりません。
ネタバレをすると、結局のところできませんでした。
プライバシー
ロシアなどの制裁対象国が直面する3つ目の問題はプライバシーです。
ロシアでは現金が王様です。こう考えてみてください。通常、スーツケースにたくさんの現金を入れて、それを同じように使っていました。ランボルギーニ、家、あるいは路上で売っているハンバーガーを買うのにも現金です。これがロシアの現実であり、どうやってお金を手に入れたかなど誰も気にしません。仮想通貨では、それはすべて不可能です。人々は追跡され、課税されることを恐れるでしょう。これはほとんどのロシア人にとって大きな抑止力なのです。
仮想通貨取引は、思っているほど追跡不可能ではありません。取引は匿名ですが、非常に基本的なレベルでは、さまざまなタイプの仮想通貨のオンチェーンデータの分析を専門とする特別な会社が存在します。
そのため、ビットコインを取引すると、最終的にあなたの住所がロシアにあるとフラグが立てられる可能性があります。これにより、多くの中央集権型の取引所はサービスを提供できなくなり、さらに多くの問題が発生します。
米国上院議員が、ロシアが同国に課せられた制裁を克服し回避するためにデジタル通貨をどのように使用できるかという問題を提起し、この話題に注目していたことを考えると、特に当てはまります。
米国がこの問題を調査していたことは確かですが、仮想通貨に関してロシア人が利用できる大きな抜け道がない可能性は高いです。
「プライバシーコインはどうなのか?」「ロシアは制裁を避けるために、それを使うことはできなかったのか?」と思われる方が多いでしょう。
最も人気のあるプライバシーコインであるMoneroを例に挙げ、詳しくみていきましょう。
本記事執筆時点で、Moneroの時価総額は約30億ドルです。事実上追跡不可能な仮想通貨としては、これは大きな数字です!しかし、ロシアのGDP総額は1.5兆ドルであり、Moneroはロシアの総GDPの0.2%だけなのです。物事の大枠から見れば、ほぼゼロのようなものです。
ここで例を挙げましょう。30億ドル相当のMoneroがすべてロシアでアクセス可能で使用できると想像してみてください。そんなことは不可能ですが、この例ではそう仮定します。
もしそうだとすると、平均してロシア人1000人中2人だけがMoneroにアクセスできることになります。ただし、繰り返しになりますが、これはMoneroの時価総額全体がロシアにあり、GDPが国全体に均等に分散していることを前提としています。実際には、その数字はさらにずっと悪いものです。
結論
では、仮想通貨だけで国は機能するのでしょうか? 仮想通貨は従来の通貨に取って代わる、唯一の支払い方法となる可能性があるのでしょうか?結論を言うと、現状、確実に不可能です。
ニュースでは仮想通貨があちこちで取り上げられ、誰もが大量導入について話していますが、各国が仮想通貨を主要通貨として使用するにはまだ規模が小さく、複雑すぎます。だからこそ、今が早期導入者として参入する大きなチャンスなのです!