6.3 仮想通貨におけるdApp(分散型アプリ)とは？またその仕組みとは?

このセクションでは、dAppについて徹底解説していきます！

今の時代、おそらく、誰ものコンピューターには、カレンダー、Facebook、天気予報アプリ、ゲームなど、さまざまなアプリケーションがインストールされていると思います。

コンピューターや携帯電話にこれらのアプリがすべてあるのと同じように、dApp (分散型アプリケーション) もあります。ただし、dAppと一般的なアプリの間には 1 つの大きな違いがありますが、それについては後ほど説明します。

さて、このセクションでは、そもそもdAppとは何か、最も一般的なdAppの種類について説明し、これらのソフトウェアが将来の生活にどのような影響を与える可能性があるかについても考えていきたいと思います。

では、始めていましょう！

ビデオ解説

動画解説: 仮想通貨におけるdApp(分散型アプリ)とは？またその仕組みとは?

読書が苦手ですか？「仮想通貨におけるdApp(分散型アプリ)とは？またその仕組みとは?」の動画解説を見てみてください。

What are dApps in Crypto? (Explained with Animations)

購読

ユーチューブで

dAppとは?

それでは、まず、仮想通貨におけるdAppとは何なのかを確認していきましょう。

このセクションの冒頭で述べたように、「dApp」は分散型アプリケーションの略です。先ほどの例を続けると、dAppは、デバイス上にあるアプリ (ゲーム、ニュースアプリ、ソーシャルメディアプラットフォームなど) とそれほど変わりません。

ただし、主な違いとしては、アプリをホストする基盤のプラットフォームにあります。したがって、たとえば、TikTokを使用している場合、すべての情報は会社のサーバーに送り返されます。つまり、データは中央機関によって収集および保存されます。

しかし、dAppではこれは当てはまりません。その代わり、分散型アプリケーションには単一の管理権限がありません。「分散型アプリケーション」という名前から想像できるように、すべてのdAppは、企業固有のサーバーではなく、パブリックブロックチェーン上に構築されています。

さて、ブロックチェーンは情報を保存するために使用される特別なデータベースです。これを特別なものにしているのは、分散型 (単一の権威に属していない) であることと、情報を時系列に保存していることです。このトピックについて、ここではこれ以上詳しく説明しませんが、このセクションでは、パブリックブロックチェーン上で行われるトランザクション (販売、取引、交換など) を誰もが表示できるという点に触れておきたいと思います。

ブロックチェーンがどのように機能するかをより徹底的に理解したい方は、ブロックチェーンに特化したセクションをチェックしてみてください。

したがって、分散型アプリケーションは、ブロックチェーン上に構築されます。これほどまでに重要な点は何なのでしょうか？

ここでの「重要な点」は、dAppを使用している場合、データが吸い上げられて中央機関に送信され、その後第三者の広告主に販売されることがないということです。それに加えて、dAppの管理方法も異なります。企業が意思決定を行うのではなく、dAppの背後にあるコミュニティーがその健全性に対して責任を負います。

このようなコミュニティーは、DAO (分散型自律組織) と呼ばれます。これは少し複雑なトピックなので、ここでは説明しませんが、全体像を理解するために、このトピックに関するセクションを確認することもお忘れなく。 

ひとまずここで、とても簡単に言うと、dAppを使用すると、コミュニティー全体がアプリケーションを管理するよう動機付けられるという事です。

これまで説明してきたことを最も簡単に理解するには、Facebook などのオンラインソーシャルメディアのプラットフォームが 2 つあると想像してみてください。たとえば、最初のソーシャルメディアをMetaが運営する「従来の」Facebook、現在私たちが所有しているものとしましょう。

ここで、もう一方のプラットフォームを「分散型 Facebook」と呼ぶことにしましょう。それは、見た目も操作性も従来のFacebookとまったく同じですが、マーク・ザッカーバーグの会社のものではなく、ブロックチェーン上に構築されており、完全に分散化されています。

従来のFacebookでは、個人情報が定期的に収集され、この情報は広告主に販売され、広告主が各ユーザーに迷惑な広告をより適切にターゲットできるようになります。言ってしまえば、あなたの個人的なプライバシーが侵害され、広告費のために売り飛ばされると言うことです。

一方、分散型Facebookは、そのような動作はしません。ユーザーが提供すると自ら選択した情報のみが表示され、必要に応じて、dApp上で匿名のままにすることもできます。ターゲットを絞った広告も情報収集もありません。

それに加えて、現在のFacebookでは、何を変更、改善、更新するかについてのすべての決定を Meta (プラットフォームの背後にある会社) が行っています。彼らは、コミュニティーが何を望んでいるのか、あるいは社会構造にとって何が最善なのかにはあまり関心がなく、たとえユーザーにとってコストが不便だったとしても、利益だけを気にしています。

逆に、FacebookのdAppバージョンは、その背後にあるコミュニティーによって監視されることになります。プラットフォームが実際に何を必要としているのかを知っている人は、実際に毎日そのプラットフォームを積極的に使用している人以外いないのではないしょうか？

すべてのdAppは、スマートコントラクトの助けを借りて実行されます。これらは、ブロックチェーン上でプログラムおよび設定が自動でなされる契約のことです。一般に、スマートコントラクトがいったん実行されると、停止したり、変更したりすることはできません。スマート コントラクトについて詳しく知りたい場合は、「スマートコントラクトとは?」のセクションをご確認ください。

最後に、簡単な注意事項として、dAppを自分で使い始めるには、ほとんどの場合、仮想通貨ウォレットとその中にいくらかの資金が必要になります。

dAppの主な種類

さて、ここまでで、dAppがブロックチェーンに基づいたアプリケーションであり、人々がデータ集約を恐れることなく、匿名で安全に使用できるという事がお分かり頂けたと思います。

続いて、このトピックをより理解するために、世の中にあるさまざまな種類のdAppの最も人気のある例をいくつか見ていきたいと思います。

まずはゲーム用dApp。これらは、業界で誕生した最も人気のある分散型アプリの一部であることは間違いありません。 NFTゲームや「Play-2-Earn」ゲームについて聞いたことがあるなら、それらのほとんどすべてがdAppであると考えることができます。

市場で最も人気のある仮想通貨ゲームの 1 つ、Axie Infinity (アクシーインフィニティ) について考えてみましょう。ゲーム内では、アクシーと呼ばれるクリーチャーを繁殖させて成長させ、他のプレイヤーと戦い、現実世界の利益のためにアクシーのペットを販売することができます。このゲームの素晴らしい機能はすべて分散型であり、ブロックチェーン上に構築されています。

これが意味するのは、ゲームの背後にあるコードを検査し、そのトランザクションをすべてチェックし、匿名でプレイできるということです。正式な登録や「自己文書化」（または自分自身に関する機密情報の暴露）などは一切必要ありません。

次に、分散型仮想通貨取引所です。

仮想通貨交換プラットフォームは、人々がさまざまな仮想通貨を交換するために訪れる場所です。デフォルトでは、これらのプラットフォームは一元管理されており、「Know Your Customer」財務ガイドラインに従っています。つまり、仮想通貨を取引したい場合は、個人情報、ID、住所などを提供する必要があります。

このプロセスは銀行と同じようなものだと考えてみてください。銀行口座を開設するには、これらすべての手続きも必要です。ただし、銀行という組織であれば、信頼できる確立された企業に情報を提供していると確信することができます。

ただし、仮想通貨取引所では、物事は必ずしも単純ではありません。今日に至るまで、多くの取引所は十分に確立されておらず、誰と取引しているのかさえ認識していない可能性があります。

それに加えて、仮想通貨取引所は今でもかなり頻繁にハッキングされています。仮想通貨を失うだけでなく、個人情報が漏洩する危険もあります。

現在、分散型仮想通貨取引所 (DEXとも呼ばれます) を使用すると、これらの懸念のほとんどが解消されます。個人情報を明らかにする必要はありません。DEXは通常、仮想通貨を保持しておらず、ニッチな仮想資産を取引することもできます。

dAppとは何かについて説明する際に最後に挙げたい例は、メタバースの例です。

さて、過去半年ほどオンラインで時間を過ごしたことがある人なら、この大きなニュースを聞いたことがあるかもしれません。FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグは、彼の会社を今後Metaと呼び、メタバースベースのテクノロジーに投資すると発表しました。

これは非常に大きなトピックなので、「メタバースとは？」の別セクションを確認することを強くお勧めします。しかし、要するに、マークはこのコンセプトを最初に思いついた人ではありません。「メタバース」とは実際には、自分のアバターを持って他の人々と交流できる単なるデジタル世界です。

ここで、dAppはどこに登場するのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。

ケーキを焼くときは、ケーキ型が絶対に必要、もし型なしでケーキを作ろうとすると、形のない、潰れた、魅力のない塊になってしまうでしょう。

この同じロジックがメタバースにも当てはまります。基礎となる技術が悪ければ、コンセプト自体もまぐれになってしまいます。逆に、メタバースが分散アプリケーション上に構築されている場合は、正しい方向への大きな飛躍が得られるでしょう。

ユーザーは匿名を保つことができ、すべてのトランザクションとのやり取りがブロックチェーン上に記録され、メタバース内で起こっていることはすべて公平であることが証明されるでしょう。言い換えれば、デジタル世界に関連するすべてのものは、その下にあるスマートコントラクトのルールに従うことになります。

さて、これ以上は技術的な話になってしまうので、ここでdAppの例は終わりになりますが、、ここまでで筆者が言いたいのは、dAppには無限の可能性があるということです。dAppを私たちの生活に組み込む方法の例や可能性は無数にあります。

dAppの将来性

時間の経過とともに、すべてがゆっくりと進歩し、より複雑になってきています。分散型アプリケーションも将来的にはさらに改善されることは間違いありません。しかし、どのdAppが今後も存続すると考えられるでしょうか？ 最も潜在的な可能性があるのはどのdAppでしょうか？

ハイテク株が金融界を支配していた2000年代初頭に、人々はおそらくこれらの質問をしたことでしょう。どの企業が生き残り、数十億ドル規模のビジネスに成長し、どの企業が失敗するかは当時誰もわかりませんでした。

dAppに関して言えば、メタバースなどの分散型取引所やプロジェクトは、少なくともしばらくの間は間違いなく人々の心に残るでしょう。このようなプロジェクトはいくつかの素晴らしい目的を果たし、テクノロジー分野全体の進歩に役立つ可能性が大いにあります。