Aave（アーベ）とは？仮想通貨の貸し借りを変えるDeFiプロトコルの全貌

仮想通貨を使ってステーキングや資産の借入ができるプラットフォームがあると聞くと、多くの人はまずBinanceやBybitのような中央集権型取引所を思い浮かべるかもしれません。確かにそれらは優れた選択肢ですが、今回のレビューでは全く異なるタイプのサービスに注目します。それが、分散型金融（DeFi）の世界で注目されているプロトコル Aave です。

Aaveとは？──それは、中央の管理者を介さず、誰でも自由に貸し借りができるよう設計された、分散型流動性プラットフォームのこと。現在、世界でも最大規模の流動性プールを持つプロトコルの一つとされており、これまでの金融の常識を覆すような革新的な機能を数多く備えています。

「本当にそんなにすごいの？」と半信半疑になる気持ちはもっともです。だからこそ、このAaveレビューを通じて、Aaveとは何か？ という根本的な疑問に対して、そのメリット・デメリットを含めた総合的な視点からお答えしていきます。

Aaveとは何か？

Aaveとは？ その答えを一言でいえば、「仮想通貨を使って、銀行を通さずにお金を貸したり借りたりできる場所」です。もう少し正確に言えば、分散型金融（DeFi）のレンディングプロトコルで、中央管理者なしに、貸し手と借り手が直接やり取りできるよう設計されたプラットフォームです。

もともとは2017年に「ETHLend（イーサレン）」という名前で始まりました。開発者はStani Kulechov（スタニ・クレチョフ）氏で、Ethereum（イーサリアム）というブロックチェーン技術をベースにしたサービスでした。

その後、2018年に「AAVE（アーベ）」としてブランドを刷新。そこから現在までに、「V1」「V2」、そして最新バージョンの「 V3 」まで順調にアップグレードが行われてきました。V3では、取引コストの削減やレイヤー2（L2）と呼ばれる高速なイーサリアム関連チェーン への対応が進み、利便性が大きく向上しています。

さらに、Aaveという名前はプラットフォームだけでなく、ネイティブトークン「AAVE」の名称としても知られています。このトークンは単なる資産ではなく、ガバナンストークン（運営参加型の投票権）としての役割もあり、保有者はAaveの方針やアップデートに対する投票に参加できます。

もちろん、こういった貸し借りのプラットフォームで重要になるのは、手数料や金利 です。少し先取りになりますが、Aaveはかなり競争力のあるレート を提供していることで注目されています。

では、どうしてそんなに有利な条件を実現できるのか？
そのヒントは、Aaveの公式サイトで公開されているデータにあります。

約315億ドル（約5兆円） もの資金が、現在Aaveに預けられているのです。

これほど大きな規模を持つサービスですから、つい期待が高まってしまうかもしれません。でも、仮想通貨の世界では「急がば回れ」が鉄則。 Aaveは本当に安全なのか？ そんな疑問が出てきたら、ぜひメモしておいてください。次のセクションでじっくり解説していきます。

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Aaveのメリットとは？

それでは、Aaveの強みについて詳しく見ていきましょう。実際に使ってみるとわかるのですが、このプラットフォームには他のDeFiサービスにはない便利な機能が豊富にそろっています。

画期的なレンディング機能

Aaveが特に優れているのは、以下のような使いやすさと柔軟性を兼ね備えたレンディング機能 です：

• 3つの運用モード （資本効率モード、Eモード、アイソレーションモード）
• Aaveレンディング計算機
• ヘルスファクターの表示機能

これらの機能は、主に最新版の「Aave V3」で導入されたものです。以下、それぞれについてわかりやすく解説します。

3つの運用モード

1. 資本効率モード
複数の担保資産を組み合わせて最適化し、少ない担保でもより多く借りられるように設計された仕組みです。効率よく資金を活用したい人にとっては、大きなメリットです。

2. Eモード（効率モード）
特に USDCやDAIなどのステーブルコイン を担保に使う場合に役立つモードです。同じカテゴリ内の資産同士であれば、より多くの金額を借りられる という特性があり、イールドファーミングやレバレッジ戦略を行う際に重宝します。

3. アイソレーションモード
特定のステーブルコインだけを対象に、安全性を高めた借入を行うモードです。万が一、新しい資産のリスクが高まった場合でも、その影響を自分のポジションから切り離して保護することができます。

Aaveレンディング計算機

この計算ツールは、借りる前にリスクや返済条件を事前にシミュレーションできる 便利な機能です。以下のような情報を一度に確認できます：

• 清算価格の予測
• 借入可能額の目安
• 必要な担保額の計算

初心者でも視覚的に「今、自分がどれくらい安全な借り入れをしているか」を把握できるため、安心して利用できます。

ヘルスファクター（安全スコア）

Aaveでは、借入ポジションの安全性を「ヘルスファクター 」という数値で表示します。

この数値は、担保価値と借入額のバランス に基づいて算出され、次のように解釈されます：

• 1以上：安全圏内
• 1未満：清算（強制売却）されるリスクあり

たとえば、ETH（イーサリアム）を約150万円（$10,000）分 預け入れたうえで、清算閾値が80%のUSDC（ステーブルコイン）を約90万円（$6,000）分 借りたとすると、ヘルスファクターは「1.333」となり、一定の安全マージンが確保されている状態です。

ただし、市場価格が下落すれば担保価値も下がり、ヘルスファクターも低下します 。そのため、ポジションを維持したいなら、この数値は定期的にチェックしておく必要があります。

借入と安全性を両立できる柔軟性

Aaveの魅力は、ユーザーがリスクを管理しながら柔軟に資金を動かせる点 にあります。特に、レンディング初心者から上級者まで、各モードやツールを活用すれば、自分の戦略に合った使い方が可能です。

次に、Aaveを利用する上で気になる「安全性」や「デメリット」についても、しっかりチェックしていきましょう。

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その他のユーティリティトークン

GHOステーブルコイン：Aave独自の過剰担保付き通貨

Aaveの魅力はレンディング機能だけではありません。独自のステーブルコイン「GHO」も見逃せない存在です。

GHOは透明性と分散性を重視して設計された過剰担保型ステーブルコイン で、従来のUSDCやDAIといったステーブルコインとは少し異なる特徴を持ちます。最大のポイントは、利息の行き先が個人ではなく、Aave DAO（分散型運営組織）のトレジャリーに戻る という仕組みです。つまり、プロトコルの長期的な健全性に貢献する仕組みが組み込まれているのです。

また、GHOを使えば、担保資産から引き続き利息を得ながら、その資産を使って借り入れが可能 。この「二重のメリット」は、資産を手放さずに活用したい人にとって、非常に効率的な選択肢となります。

Aaveにはもうひとつ重要なトークンがあります。それがガバナンストークン「AAVE」です。

このトークンを保有することで、 AAVEプロトコルの運営に直接参加することが可能 になります。具体的には、重要なアップデートやポリシー変更に対する投票権 が与えられます。

投票に参加できるトークンは以下の3つです：

• AAVE （通常のトークン）
• stkAAVE （ステーキングされたAAVE）
• aAAVE （Ethereum V3市場に供給されたAAVE）

投票はすべてEthereumメインネット上のスマートコントラクトで実行される ため、仲介者を介さずに完全な自律分散型ガバナンスが実現されています。

ステーキングによる報酬

Aaveでは、 GHOやAAVE、ABPT （Balancer Pool Token）といったトークンをステーキング（預け入れ）することで、報酬を得ることができます。

• GHOステーキングAPR（年利） ：約6.90%
• AAVEのステーキングAPR ：約4.55%
• ABPTのステーキングAPR ：なんと約19.56%

資産を預けることで、プロトコルの安全性向上に貢献しつつ、報酬も得られる 一石二鳥の仕組みです。

Aaveでのスワップ機能

Aaveでは、資産を貸し出したり借りたりしている最中でも、任意のERC-20トークンをスワップ（交換）できる機能 があります。これにより、ポジションを閉じることなく、資産の柔軟な管理が可能になります。

フラッシュローン：担保なしで即時借入が可能なAaveの目玉機能

Aaveの最大の特徴の一つが、「フラッシュローン（Flash Loan）」です。

これは、担保なしで一時的に資金を借りられる画期的な機能 で、ブロックチェーン上の単一トランザクション内で借入と返済が完結 します。

この仕組みは非常に高速かつ高度で、開発者や上級トレーダー向け 。主な活用例は以下のとおりです：

• アービトラージ取引（取引所間の価格差を活用）
• 債務の借り換えや担保のリファイナンス
• イールドファーミング戦略の自動化・再構築
• セキュリティ監査や脆弱性テスト

しかも、初期資金ゼロで戦略を展開できる点 も大きな魅力です。

なお、Aaveのフラッシュローンには手数料がかかります：

• V2：0.07%
• V3：0.05%

複数ネットワーク対応（マルチチェーン）

Aaveは Ethereumをはじめ、Polygon、Arbitrumなど12以上のブロックチェーンネットワーク に対応しています。

これにより、ユーザーはガス代や取引速度に応じて最適なチェーンを選択可能 。例えば、PolygonではEthereumよりもガス代が圧倒的に安く、処理も高速 です。

さらに、「ポータル機能 」を使えば、担保はEthereum、借入はArbitrum といった、チェーンをまたいだ操作も可能です。まるで複数の銀行口座を使い分けるような柔軟さ が実現されているのです。

ノンカストディアル＆完全な透明性

Aaveはノンカストディアル型のプロトコル です。つまり、自分の仮想通貨は常に自分自身で管理 できます。Aaveが勝手に資産を動かすことはなく、信頼性とプライバシーが守られた仕組み です。

さらに、Aaveのプロトコルは完全なオープンソース であり、トランザクションや金利、スマートコントラクトの動作すべてが透明化 されています。

• Etherscanなどで実際の取引を確認可能
• ガバナンス、担保、貸出条件すべてがスマートコントラクトで自動処理
• Chainlinkなどの分散型オラクルが価格データを提供し、改ざんを防止

また、Aaveではバグバウンティプログラム も実施されており、脆弱性が発見された場合は報奨金が支払われる仕組みとなっています。

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AaveのL2ソリューションとの統合：スケーラビリティと効率性の鍵

Aaveの将来性を支える大きな要素のひとつが、レイヤー2（L2）ソリューションとの積極的な統合です。これにより、ユーザーはネットワーク混雑時でも迅速かつ低コストで取引を行え、スケーラビリティが大幅に向上します。

Aaveは、以下のL2技術をすでに導入済みまたは積極採用しています：

• Optimism / Optimistic Rollups
• zk-Rollups
• Polygon
• Avalanche
• Base
• Metis Rollups

これらの技術によって、Aaveはガス代の削減、取引スピードの向上を実現しています。メインのEthereumチェーン外で多くのトランザクションを処理しつつ、資産の安全性とユーザーの管理権限は維持されており、分散型金融の中核的価値観を損なっていません。

特に注目すべきは Metisの活用 です。Metisを担保資産として採用することで、同ネットワークのユーティリティを高めつつ、資本効率の向上にも貢献しています。例えば、Metisは最大30%のLTV（ローン対バリュー）比率 で借入可能であり、100ドル相当のMetisを預けることで、最大30ドル分の資産を借りることができます。

さらに、Aaveの将来性を示す取り組みとして、Botanix LabsによるSpiderchain上でのAave V3展開提案が議論中です。SpiderchainはBitcoinベースで最大規模のEVM対応L2であり、この統合によりAaveはBitcoin資産への対応を大きく拡大できる見込みです。また、BotanixはAaveのステーブルコインGHOの導入も計画しており、プロトコルのDAOにとって収益機会の拡大が期待されます。

Aaveの将来的なネットワーク対応はまだまだ拡張が見込まれており、DeFiの分散型エコシステムをさらに強化する動きが続いています。

開発者、機関投資家、またはDeFiに関心を持つ一般ユーザーにとっても、これらのL2統合は大きな利点をもたらします。

Aaveのデメリット

バランスの取れた視点を保つために、Aaveが抱える課題や注意点についても見ていきましょう。

過剰担保の必要性（Over-Collateralization）

Aaveでは、借り入れ額以上の資産を担保として預ける必要があります。これは借り手と貸し手双方の安全性を保つための重要な仕組み です。

例えば、1万円を借りたい場合、1万5千円相当の仮想通貨を担保として預ける必要があることがあります（LTV 75%の場合）。このシステムにより市場が急落した際でも、ローンが確実に返済される仕組みが保たれています。

一方で、少額の資産しか保有していないユーザーにとっては、高額な担保要求は障壁となり得ます。また、担保資産をロックすることで、他の用途への流動性が制限されるという機会損失 も発生します。

さらに、担保価値が一定水準を下回ると、強制清算（Liquidation）が行われ、資産が失われるリスクも存在します。

安全性の確保の裏には、資金効率の低下や敷居の高さという課題が伴います。

プラットフォームの複雑性（Platform Complexity）

Aaveは高機能なDeFiプロトコルですが、その反面、初心者にとっては操作が複雑に感じられることもあります。特に以下のような高度な機能には注意が必要です：

• フラッシュローン（Flash Loans）
  担保なしで即時の借入が可能ですが、スマートコントラクトの記述・デプロイが必要です。開発知識がなければ扱いが難しいでしょう。
• 複数ツールの使用
  MetaMask、Remixなど、複数の開発ツールの習得が必要になることがあり、DeFi初心者にはハードルとなります。

そのため、最初は基本的なレンディングやステーキング機能から始め、徐々に理解を深めていくのが推奨されます。

Aaveのレンディングレート & 手数料

Aaveでは、借入および供給時の手数料と金利は資産の需給 やネットワークの混雑状況 に応じて変動 します。

◾ ネットワークによる違い

• Ethereum ：ガス手数料が高いが、最も安定したセキュリティ
• PolygonなどのL2 ：ガス代が安く、迅速な処理が可能

◾ レンディング/借入金利（APY）

※ 他の資産については公式サイトをご参照ください。

Aaveでは固定金利と変動金利 を選択できます：

• 固定金利 ：長期戦略に適しており予測可能。
• 変動金利 ：市場変動に応じてコストが変動。

また、フラッシュローン には 0.09%の手数料 が発生します。初心者にはリスクもあるため、十分な理解が必要です。

借入前にはAaveレンディング計算機を活用し、担保と借入額のバランス（ヘルスファクター）を確認しましょう。

Aave（アーベ）の利用ガイド

Aaveの登録方法

ステップ 1：公式サイトにアクセス
Aaveの公式サイト にアクセスし、[Connect Wallet]ボタンをクリックします。

ステップ 2：ウォレットを接続
Coinbase Wallet、Ledger Flexなど、お好みのウォレットを選択して接続します。

接続が完了すれば、レンディング、借入、ステーキングなどの機能をすぐに利用可能です。

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Aaveでのレンディングの始め方

仮想通貨をレンディングして利益を得たいですか？まずはウォレットに十分な資産があるか確認しましょう。Binanceなどの取引所内蔵ウォレットを使っている場合は、レンディングに使う資産を一旦自分の外部ウォレットに送金する必要があります。

準備ができたら、以下の手順でレンディングを始めてください。

ステップ 1:

Aaveのサイトで[Markets]を選択します。

ステップ 2:

利用したいマーケット（例：USDT）をクリックします。

ステップ 3:

ウォレット接続画面で[Supply]ボタンを押します。

ステップ 4:

レンディングしたい金額（例：USDT）を入力し、[Approve USDT to continue]をクリックしてトークン使用を承認します。

ステップ 5:

ウォレットが自動的にトランザクション確認画面に切り替わるので、内容を確認し問題なければ署名して承認します。

ステップ 6:

再度ウォレット画面に戻り、ガス代を含む総額を確認後、[Confirm]を押してトランザクションを送信します。

成功すると「All Done」という完了画面が表示されます。[Ok, Close]をクリックして手続き完了です！

Aaveで出金する方法

レンディングした資産を引き出すには、以下の手順で操作してください。

ステップ 1:

Aaveの[Dashboard]にアクセスし、現在の供給資産の一覧を確認します。

ステップ 2:

引き出したい資産の[Withdraw]ボタンをクリックします。

ステップ 3:

引き出す金額を入力します。

ステップ 4:

[Withdraw USDT] （もしくは該当資産名）を押します。

ステップ 5:

ウォレットのトランザクション承認画面が表示されるので、内容を確認し承認してください。

以上で資産が正常に引き出されます。

結論

AaveはオープンソースかつノンカストディアルのDeFiレンディングプラットフォームで、透明性が高く、多彩な資産のレンディングを可能にします。

DeFi未経験者には多少複雑に感じるかもしれませんが、学ぶ意欲があれば、その高機能なツールは大きな価値をもたらします。Aaveは継続的な技術革新を続けており、仮想通貨レンディングの未来をリードしています。

さらに、AAVEトークンを保有することで、プラットフォームの運営方針に参加できるコミュニティ主導の魅力も備えています。

なお、AAVEはBybit、Binance、Krakenなどの大手取引所でも取引可能です。

当ウェブサイトに掲載されている内容は、金融・投資・取引、またはその他いかなる種類のアドバイスを提供することを目的としたものではありません。BitDegree.orgは、特定の仮想通貨の購入・売却・保有を推奨または勧誘するものではありません。金融に関する意思決定を行う前には、必ず信頼できるファイナンシャルアドバイザーなど専門家へご相談ください。

参考文献

1. Lantz L., Cawrey D.: 'Mastering Blockchain';

2. Wang, D., Wu, S., Lin, Z., Wu, L., Yuan, X., Zhou, Y., Wang, H., & Ren, K.: 'Towards A First Step to Understand Flash Loan and Its Applications in DeFi Ecosystem'.